埼玉県の離婚弁護士 レンジャー五領田法律事務所

小説一覧

プラトニック夫婦③

子どもが双子の男の子であることは早い段階からわかっていたので、出産後も何かと大変だろうと里帰り出産することになり、由香のお腹が目立ち始めた頃、由香は金沢の実家に戻った。僕もその方が安心だ。 由香が里帰りしてからは、僕は週

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プラトニック夫婦②

僕たちの交際は、すでにお互いの両親には周知の事実で、そのうち結婚するんだろうと思われていた上、ある重大なミッション遂行のために結婚話は待ってましたとばかりにトントン拍子に進んだ。僕は新生活のために少し広い家に引越し、由香

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プラトニック夫婦①

19世紀に活躍したアメリカ人コラムニストのアンブローズ・ビアスは、その著書の中で、プラトニック・ラブを「不能と不感症の間の愛情を指す、馬鹿がつけた名前である」なんて独断と偏見で決めつけているのだけど、要するに彼の言わんと

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猪狩⑤

「申し訳ない…」剛は言った。「ううん。私たち家族だから」佑香は言った。「佑香に頼みたいことがある。まず弁護士費用の支払いも含め、俺の弁護士とやりとりをしてほしい」剛は言った。「わかった」佑香は応えた。「それから俺の資産の

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猪狩④

「いま、そっちに行きます。絶対に飛び降りないでくださいね」 女性は佑香のところまで来ると柵を挟んで佑香の体を抱き寄せ少しの間そうしていた。佑香には何が起こったのか理解できなかった。しばらくして女性は佑香を抱きかかえ柵のこ

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猪狩③

一方でこんな中でも佑香を悩ませたことがある。それは、妊娠中や出産後の身体が完全に回復してるとはいえない状況でも剛が性交を求めてくることであった。また剛は相変わらず避妊をしようとしない。佑香がその要求を拒むと剛は不機嫌にな

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猪狩②

「今日産婦人科に行ってきた」佑香が言った。「どうだった?」剛が言った。「やっぱりいるって」佑香が言い、それからしばらくの沈黙があった後、「今回は産むのはやめておこう」と剛が言った。「え、どうして?」剛は当たり前のように産

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猪狩①

剛は端正な顔立ちをした長身で、街を歩けば人気の若手俳優に間違われるような青年であった。大学時代にベンチャー企業を立ち上げ、スポーツカーを何台か所有している。剛と佑香は結婚してから、子供たちと品川のタワーマンションに暮らし

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谷川岳④

「お母さんー、明日朝早いから起こしてー。」時は過ぎ、百合の成人式の日がやってきた。百合は達正の顔立ちにそっくりになった。その整った顔立ちは今でも智恵子の記憶に新しいけれど、遠い思い出になっていた。苦しかったはずの日々はい

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谷川岳③

 離婚は弁護士によって着々と進められていった。離婚に向けての決定事項は、親権は智恵子に。慰謝料はなし。養育費は娘2人が大学を卒業するまで。面会はお盆休みとお正月の2回と達正の仕事都合上、不定期に年10回まで。達正の両親か

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