埼玉県の離婚弁護士 レンジャー五領田法律事務所

小説一覧

谷川岳②

 智恵子はどこかで達正がどんな状況になったとしても、この義理の両親がいるなら大丈夫だと思っていたのだ。その一方で達正への信頼感は日々薄れていく一方だった、智恵子は心のどこかで「将来1人で百合と梨花を育てていくのではないか

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谷川岳①

真夏の太陽が降り注ぐ中、智恵子は谷川岳の頂上にいた。先ほどまで涙が止まらなかったけれど、ようやく気持ちが落ち着いてきた。高ぶった気持ちを落ち着かせようと大きく息を吸い込んだ。2人の娘と手を繋いで、眼下に広がる景色に自身の

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最強の神様④

 運ばれてきたジェラートがなかなかのクオリティだったため、二人はかきこむように流し込んだ。氷の粒が溶けるか溶けないかしないうちに、仁が突然かしこまったように彰を見た。 「親父。俺さ…」と言いかけた仁の顔が一瞬曇ったのが彰

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最強の神様③

10月下旬の日曜日の昼下がり、二人はパスタ屋にいた。意外なことに普段はこの二人、ネットや電話でのやりとりはほとんどしない。この対面の時間を生活の節目にするかのように。 「ここ、色々食ってみたんだけど、一番ペペロンチーノが

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最強の神様②

男としての尊厳を全否定されたような感覚と、後悔のようなやり場のない感情に押しつぶされそうになりながら彰はそれから3年ほど悩みに悩んだ。何度となく一人で涙を流しとにかく悩み尽くした。里奈に対する嫉妬というのは一瞬湧き出てこ

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最強の神様①

日曜の昼過ぎ、仁(じん)と彰(あきら)は「来来軒」にいた。 天井から吊り下げられたような格好で鎮座するテレビでは仕様のないワイドショーがかかっている。「来来軒」は彰の住む市営住宅の最寄り駅に程近い昔ながらの中華飯店である

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