家裁という男が否応なく劣位に立たされる場所で彼らの一分の尊厳を確保するため敢えて介錯の役に甘んじる立場に追い遣られる私が男について何か意見を請われても何を書くべくもない。ただ私は男らしくあるよりも、男らしくあろうとした男の態度の方が重要な気がしてならない。あいつはまだ男らしくあろうとしているのだろうかとふと気になる男が誰でも何人かはいる。彼らこそその男にとっての至高の財産である。そのような男は勿論男について何かを語る資格がないはずの私にもいる。幾多の共感或いは反撥を経て心に棲みついた亡霊のような男が確かに私にもいる。男について次に何か語る機会があるとすれば、私は私の心の中でもしかして私の心の中だけで燦然と輝く亡霊としての彼らのことを語りたいと思う。それはそんなに遠い未来ではない。胸を張って公言出来る訳など一つもないがただただそのような気がしてならないのだ。