強制執行とは、離婚協議で決まった約束通りに慰謝料や養育費などが支払われない場合に、強制的に相手側の財産を差し押さえ、支払いを実行させる制度です。離婚時に約束した金銭給付を支払わないという事案は、離婚後にもっともポピュラーな紛争です。
以下の財産が強制執行の対象になります。
- 給与(会社勤務の場合)
- 会社の売上(自営業の場合)
- 土地や建物などの不動産
- 家財道具や自動車
- 預貯金
債務名義があると強制執行されます
強制執行をするためには、慰謝料や養育費などの金銭の支払いの約束を公的に証明できなければなりません。この約束を記載した文書を「債務名義」といいます。「債務名義」には、確定判決、仮執行宣言付判決、和解調書、調停調書、公正証書などがあたります。言い換えれば協議離婚などで「債務名義」がなければ強制執行は行えません。
金銭の支払いについて口約束しかしていなかったり、夫婦間で文書にしているだけでは強制執行することはできません。これを避けるためには、離婚時の取り決め「離婚合意書」を、公正証書にしておくか、裁判所を通じた調停調書等にしておく必要があります。