埼玉県の離婚弁護士 レンジャー五領田法律事務所

【男の離婚相談】妻がアダルトビデオに出演していました。もう、消えたい…です。

今年の忘年会のことです。2次会でたまたま入った店がハイボールに角の継ぎ足しをしてくれる店で、みんな10時を廻っていない段階でベロンベロンになってしまいました。気付くと目の前で普段あまり仕事をしない後輩が入社したばかりの女子社員にセクハラまがいのことをし始めていました。酒に酔って指導するのはよくないとは思いつつも、主任という立場で軽く注意したところその後輩からまさかの逆切れが。後輩は私に「今日はBRKすなわち無礼講のはずじゃなかったんすか?」と言って来たのです。私は大学時代に体育会空手部の副主将を務めており、こう言った上下関係が分からない奴が許せません。暴力こそは振るわなかったものの正座をさせ3分だけと決めて説教を始めました。そして3分経ったため解放してやろうと「分かったな。」と窘めると、「主任、ひと言だけいいっすか?」とその後輩が言ったんです。途端に今まで隅の方で静かに飲んでいた質感が佐藤浩市似の課長が「それはやめろ!」と怒鳴りました。いいから言ってみろというしかない状況で私は後輩から衝撃の一言を聞いたんです。それは「主任の奥さんって、AV出てましたよね?」というものでした。永遠とも思える静寂の中で課長が後輩を殴り付ける音と「ここは俺が持つから早く帰れと!」いう課長の声だけが聞こえました。即座にネットで調べようとアイフォンを取り出そうとした私の肩を課長が掴んで「それは絶対にやらないって、今ここで俺に約束してくれ。頼む。」と言いました。私は課長の佐藤浩市が映画終盤で見せる涙を堪えながらの上目遣いさながらの迫真に迫る表情を見て全てを悟りました。結婚式にも出席してくれた課長が少しだけ教えてくれたことによれば、妻は素人妻の面接モノに出演し、おそらくそれ以外の出演はなく、課長も一度だけお世話になったことがあるとのことでした。ここ3日は実家にいます。母は「何かあったのかい?」と言って来ます。その何かを察した妻が頻繁に生まれたばかりの娘の写真をラインして来ますが、正直「もう消えたい」です。私はどうしたらいいのでしょうか?

相談者:28歳・大手広告代理店勤務
家族:妻26歳(専業主婦)・長女3ヶ月


ここでオレは古いようだが、プライドという言葉を出してみたい。おそらくプライドが問われている。飢餓は過去に葬り去られ、戦火はまだ遠く、冒険の機会が失われ続けていく時、プライドは自然消滅へ向かおうとする。プライドにしても幻想であることには変わりがない。例えば、制服を着ているが本当に現役だか分からない女子高生と3万円ほど出してその辺の喫茶店でお話をするだけの悲しいオジさんは、決してカスのようなロマンを求めているわけではなく、下水のあぶくのように危うくなってしまったプライドをなんとか繋ぎとめようとしている。プライドを得る場所が減っていき、失う場所だけが増えていく。だが、プライドだけが物語を作る。絶望した時に消え去りたいという誘惑から救ってくれるのは、母親でも友人でもなく、ましてや抗精神薬でもない。プライドである。プライドを保とうとした自分の思い出だけが、頼りになる。


まず、奥様のAV出演が「不貞行為」に該当するかどうかですが、「不貞行為」とはすなわち配偶者以外の異性と性交することを言うため、奥様が出演したAVで本番行為をしたかどうかが問題となって来ます。しかし、売春防止法は本番行為を禁止しており、類に漏れずAVでも本番行為はしてはならないことになっています。そのため、AV製作者は映像にモザイクを掛け、本番行為をしていないという建前を守っているのです。仮に奥様が出演したAVで本番行為をしていれば、かかる行為が「不貞行為」に該当するのみならず、法を破ってAVに出演させた訳ですから制作会社に不法行為に基づく慰謝料請求することができます。他方で、本番行為をしていなかった場合は「不貞行為」には該当しないものの生活費に困窮していた等の特段の事情のない限り、いわゆる5号事由として「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認定されるでしょう。また、無理矢理AVに出演させられた等の事情があれば、本番行為があった場合と同じく制作会社に不法行為に基づく慰謝料請求をすることができます。なお、奥様が本番行為をしていた場合でも奥様が売春防止法で処罰されることはありません。売春防止法は、売春をした者を守ることを立法趣旨としています。処罰される可能性があるのは、法を犯した制作会社であり、奥様ではないのでその点はご安心下さい。