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【ライフスタイル】男たちの映画に見るワークアウト②『プッシュアップ』

映画「愛と青春の旅立ち」1982年〜CICパラマウント映画

映画「愛と青春の旅立ち」1982年〜CICパラマウント映画

映画はワシントン州シアトルの朝から始まる。全裸で寝ている父親と娼婦を横目に主人公のザック・メイヨ(リチャード・ギア)は幼少期のトラウマを再燃させていた。メイヨの母は幼少期に自害し、メイヨは父親の赴任先だったフィリピンで陰鬱な幼少期を送る。ジメジメと暗く腐った憂鬱な青春から訣別するため、メイヨは海軍の航空士官学校に挑戦することを決めた。そんなメイヨに父は「お前は士官には向かない。」と言う。呑んだくれの父は定年間際の曹長、つまり下士官だ。

入隊後彼を含め34人を待ち受けていたのは、海兵隊のドリルマスター・フォーリー(ルイス・ゴセット・ジュニア)の徹底的な罵倒と扱きだった。フォーリーは冷笑を浮かべながらソツなく訓練を熟すメイヨをマヨネーズに捩った「メイヨネーズ」と名付け特別に扱く。その理由は、高い能力を持ちながらも利己的で仲間と溶け合おうとしないメイヨに士官としての大切な品性が欠けていると判断したからだった。戦場で指揮をとるのは士官であり、隊員はその指揮官である士官に命を預けることになる。自分のことばかり考えている人間に隊員は命を預けない。階級だけの人間に士官は務まらないのだ。複眼的に見れば、フォーリーは呑んだくれで母親を自害に追い込んだ実の父が果たせなかった「父性」をその罵倒と扱きを通じてメイヨに注ぎ込んでいる。改めてこの映画を見返してみると、あらゆる有形力がまるで錬金術のように虐待とされてしまうチープなヒューマニズムの蔓延する今の世にあって「真の父性とは何か?」が問い掛けられているようも思えた。

物語はメイヨらが航空士官になる訓練の過程とメイヨとポーラ(デブラ・ウィンガー)の恋愛が並行して描かれている。基地周辺の町工場で働く女工にとって、将来パイロットになる士官候補生と結婚することが唯一と言っていい町から出る術だ。メイヨと男女の関係になったポーラはこう言う。「私、よかった?」と。その台詞には景気停滞期にあったアメリカの古き良き献身的な女性の終焉が漂う。日に日に衰えてゆく美貌と大空に飛び出そうとしている青年とのセックスの相性が閉塞した町から出て行くための唯一の生命線となる女たちの生き様が垣間見える。

ハリウッド史上に残ると言われるシーン、メイヨが訓練を終えポーラを工場に迎えに行くシーンは実はあまり好きではない。どうしてもこの二人は幸せにはならないのではないかと鼻白く感じてしまう。一つ分かって欲しいことは、俺がこの映画を単純で予定調和の恋愛映画としては見てはいないということだ。トラウマに苛まれる人間不信の青年が白昼堂々一人の女工をお姫様のように迎えに行く。この映画は厳しい父性を通して一人の青年が別の人間に生まれ変わるという青春譚である。

軍隊における訓練の本質は人間の矯正であり、人間を厳しく矯正することは誤解を恐れずに言えば、母ではなく父の役割である。卒業式閉会後、少尉は海軍の伝統に則って1ドル硬貨を誰か目下の軍人に手渡し、その者から最初の敬礼を受けることになる。今まで自分を扱いていた父としての下士官に対して「お前に感謝する。」と言って敬礼を先に下げる。須く敬礼をした者は敬礼をした相手より早く下げてはならない。下士官である父親も、いわばメイヨの育ての父であるフォーリーも少尉になったメイヨより先に敬礼をし、メイヨがそれを受けて下げるまで敬礼を下げることは出来ない。そんな夢のような物語を与えてくれる場所は逆説的に聞こえるかもしれないが軍隊、それも士官学校にしかない。

フォーリーに扱かれた極限状態でメイヨが「他に行く場所がない、行く場所がないんだ。」と叫んだシークエンスは一見して奇妙だが、軍隊に入る者はみな共通して「他に行く場所」がない。なぜなら、彼らはそこにしかないものを求め、その門を潜るからだ。すなわちメイヨにとって、陰鬱な青春と訣別する唯一の術が軍隊でパイロットになることだった。これが「他に行く場所がない」というメイヨの叫びに隠された本当の意味だと俺は思っている。それでは、お待ちかねのワークアウトを紹介することにしよう。

ワークアウト「プッシュアップ」

ワークアウト「プッシュアップ」

一人闇市のようなことをしていたのがフォーリーに見つかり、DORと呼ばれる任意除隊を迫られ拷問のような訓練を施されたメイヨだが、市井に生きる俺たちが極限状態まで「プッシュアップ」をするとなるとそれこそ軍隊に入るか、小一時間以上の時間が必要だ。そこでドロップセットと呼ばれるテクニックを使ってベンチプレスをした後、最終的に胸をプッシュアップでオールアウトさせるメニューを紹介する。所要時間は5分、ジェニファー・ウォーンズとジョー・コッカーの「Up Where We Belong」がどこからともなく流れて来て、オールアウトした後に「他に行く場所がない!」と叫びたくなったらワークアウトが成功した証だ。

<男の尊厳を取り戻すためのプッシュアップのワークアウト>

①マックス80%ベンチプレス…8回

②マックス60%ベンチプレス…10回

③マックス50%…10回

④マックス40%…16回

④プッシュアップ…限界レップ

⑤膝付けプッシュアップ…10回

⑥さらに額を地面に付け、プッシュアップの姿勢を取り続ける

P.S.セット間の休憩時間はない。

【男の離婚相談】夢のマイホームが外れない結婚指輪になってしまいました。

思えば住宅ローンを返済するのに捧げたような30代でした。営業の横繋がりで貰ったグレーのペイバックをせっせと繰上げ返済に充て、もうじき住宅ローンが完済になる40歳の誕生日直前、妻から別居を切り出されたのです。だったら家を売って離婚しようと言うと、一夜だけベットを共にした女の子と私がホテルに入る写真が食卓の上に舞い落ちました。私は嵌められたのです。広瀬すずのような女の子が私の目の前に現れないことは重々承知しています。でも、それが広瀬アリスだったらどうなんだろうか…と考えたことが運の尽きでした。私はおそらく妻に金で雇われた広瀬アリス似の女の子と一緒にホテルに入り、有責配偶者の烙印を押されてしまったのです。その写真には私と今ではただのフィリピン人にしか見えない女性がホテルに入るところがバッチリと写っていました。別居後、妻にはチンピラのような弁護士が付き、私はいわゆるコンピ地獄に陥りました。もう娘ともしばらく会っていません。家に近づくと、どこからともなく携帯に妻の弁護士から「保護命令を申し立てるぞ。」と電話が掛かって来ます。もちろん、最初の方は「誰が買った家だと思っているんだ。」と怒鳴りもしましたが、その妻の雇った弁護士が「その家は共有だぞ!」と怒鳴り返すので今はただただ動悸がするだけです。あの弁護士を殴ったらこの動悸も少しは治まるとも思いますが、警察に捕まって会社はクビになるでしょう。この先、私はどうすればいいのでしょうか?離婚はすぐには出来ないとしても、せめて私が30代を犠牲にしたあの家くらいは何とかしたいんです。共有なんですから、私にも権利があるはずです。私はその権利を行使したいです。方法を教えて下さい。宜しくお願い致します。

相談者:会社員(41歳)、妻:専業主婦(35歳)、娘:中学生(15歳)


最近めっきりケンカを見なくなった。まぁ、暴力を管理する社会が暴力を否定するのは当然。暴力追放キャンペーンも結構なことだが、それで世の中が果たしてよくなっただろうか?

ところで、アメリカでは当事者が出てこないでケンカをするチャンピオンファイトというのがある。日記を読み返す限りオレはアメリカにいる間に40回もチャンピオンファイトをしている。初めてチャンピオンファイトをやつたのは大学一年のときだ。奨学金が打ち切られてしまうと断ったが、その心配は全くないという。場所に指定された野球場のグラウンドに行くとその理由がすぐに分かった。ダッグアウトに学長が娘を連れて見に来ていたからだ。相手はサミーという190センチで200ポンドの重量挙げ選手。そいつがクラウンチングスタイルで飛びついて来たところを鼻の下目掛けて蹴りをぶち込んでやった。そして仰向けに倒れたところにすぐさまヒールを叩き込んだ。サミーは前歯が折れて口からビューと血を流し、それでお終いだった。1分も掛からなかった。その後、サミーとは街のバーでバッタリ会って仲直りをした。彼は海兵隊に入ってイラクに行き、それ以来音信は途絶えた。生きているのか死んだのか、今でも心のどこかに引っ掛かっている。だが、勝ったのはオレだ。それは紛れも無い事実で、負けたらお終いなのだ。前にも言ったかもしれないが「おまえ、負けたけどよくやった」なんてのは馴れ合い社会の日本だけで通用する価値観で、海の外では「負け犬は負け犬」でしかない。

闘争心をも暴力として全否定してしまいかねない超過保護社会でサバイバル精神をなくし、新旧両方のスカートの下で「いい子ごっこ」を繰り返している野郎に敢えてオレはいう。男として生きるならば向かっていくしかない。向かっていけば、ケンカもしなければならない。やるんだったら勝て。そういうことなのだ。


共有者が夫婦である場合も共有物分割請求は可能です(民法258条)。また、夫婦であるという理由により共有物分割を妨げる理由がないことが、平成20年の判例法理により明らかになっています。

一般に言う財産分与は総合的な精算ですが、共有物分割は対象の財産だけを対象とします。つまり、離婚する前にボトルネックとなっている住宅に関する軛を解除した後に、改めて離婚の協議をすることが出来るということです。権利濫用として共有物分割請求が否定される場合もありますが、離婚手続きに入る前に共有物分割請求をした方がベターと思われる場合があります。具体的には、①どちらかが離婚を拒絶している。②どちらかが有責配偶者であるか、親権争いが継続している。③共有不動産を誰も使用しておらず、住宅ローンの負担がある。④どちらかが共有不動産の売却そのものを拒絶している等の場合は財産分与に先行して共有物分割の手続きを採ることが好ましいでしょう。

もっとも、共有物分割請求は弁護士でさえ経験しているものが少ない手続きです。ご自身で行うにはかなり負担が大きいものと予想されます。よって、ここはチャンピオンファイトではないですが、まずお近くの弁護士に依頼することをお勧め致します。

【ライフスタイル】男たちの映画に観るワークアウト①『アンダーチンニング』

映画「ザ・タウン」2011年〜ワーナーブラザーズ配給

映画「ザ・タウン」2011年〜ワーナーブラザーズ配給

ボストン北西部に位置する「タウン」と呼ばれる小さな街では銀行強盗が親から子へと受け継がれていた。ダグ(ベン・アフレック)はそんな裏稼業を親から受け継いだ者の一人で、血と骨を分け合った仲間とともに一切証拠を残さない完全犯罪を生業としている。

銀行強盗の技術のみでなく、親からの複雑に入り組んだ柵さえも受け継いだ今の境遇から、ダグは抜け出そうとしていた。

とある銀行強盗でダグたち一味は女性の支店長クレア(レベッカ・ホール)を人質にとる。うまくやり仰たつもりだが、一つだけミスを犯してしまう。仲間の一人ジェム(ジェレミー・レナー)がクレアに首の刺青を見られたのだ。トラックの中には身分証が落ちていて、口止め役としてダグがクレアに接近することになる。コインランドリーのシーン。おそらくクレアは人質になった時に着いたシャツの血糊を洗い流すためにわざわざコインランドリーに来ている。しかし、その血糊を改めて見たクレアはいきなり泣き出してしまう。そんなクレアにダグは声を掛ける。「オレもネイルサロンで泣く。彼女たちにつらい思いを聞いてもらうんだ。君はコインランドリーか。」と。もちろんジョークであり不自然とも受け取れるのだが、男の優しさはそうやって滲ませなければならないという手本を主演とともに監督も務めたB・アフレックは示している。二人は恋に落ち、ダグはクレアを通して自らの新しい人生を見る。ハリウッド史上に残る名シーンだ。

そんなダグの前に自らが育った「タウン」が立ちはだかる。ダグ以外の仲間は「タウン」から出ることを望んでいない。「タウン」でしか生きられない人間たちなのだ。特に、ジェムはダグが自分の元から離れていくことを決して許さなかった。一方でダグもジェムとの関係を簡単には断ち切ることが出来ないでいた。ジェムの妹(ブレイク・ライヴリー)の子供は恐らくダグの子で、またジェムはダグを殺しに行こうといていた男を殺害し、9年刑務所に食らい込んでいたという経緯がある。

さらに、ダグたちは親の代から元締めの花屋ファギー(ピート・ポスルスウェイト)に徹底的に管理されていた。ダグの母親はダグが6歳の時に忽然と姿を消している。ダグは1年前そうやって飼い犬が戻って来たことから街じゅうに張り紙を出したが、母親は結局帰って来なかった。刑務所にいる父親は、その真相を語ろうとしない。しかし、その真相をダグは花屋ファギー自身から聞かされることになる。父親が花屋から独立しようとしたため「去勢」と呼ばれる儀式で母親はコカイン漬けにされ街で首を吊って自殺をしたというのだ。花屋はその真相をダグに聞かせた後にこう言う。「お前も去勢されたいか?」と。

その後も銀行強盗は行われるが、次第に彼らの暗躍も綻びを見せ始める。ラストの強盗の舞台は大リーグスタジアム。そこで行われるガンアクションはアルパチーノの傑作「HEAT」を彷彿させる圧巻ものだ。ダグの仲間たちは「タウン」での生き様を総決算するように一人ずつ死んでいく。果たして、ダグは「タウン」との決別し、クレアと新しい人生を歩めるのか?その結末は各々がその目で確認してくれ。

本題に入ろう。今回この「タウン」という映画で紹介するワークアウトは「リバースチンニング」だ。冒頭でダグがジェムに酒を勧められるシーンがある。ダグがそれを断り、カウンターでジュースを注文した後に幼馴染とファックをして中途で終わり、女が去ったベッドで眠れずにいたところから突如そのシーンは始まる。男が今までの係累を断ち切ろうとする覚悟をアルコールとワークアウトのシンメトリーにアンチクライマックスに終わったファックを介在させることによって見事に暗喩した至極のシーンだ。ただ、地下を思わせる暗闇の中でのワークアウトは僅か10秒ほどで、こと「リバースチンニング」に関しては1レップのみで一瞬しか映されない。

ワークアウト「リバースチンニング」

ワークアウト「リバースチンニング」

ところで、俺はこの映画を見た次の日にもう一度この映画を見に劇場に足を運んだ。「リバースチニング」のシーンをもう一度見たかったからだ。具体的に確認したかったのは、B・アフレックがいわゆる懸垂を順手で行っていたか、逆手で行っていたかという点だ。どうして、B・アフレックが順手で行う「チンアップ」とも呼ばれるチンニングではなく、逆手で行う「リバースチンニング」をチョイスしたのかは後日、自分でやってみてすぐに分かった。順手より逆手でやった方が、腹直筋全体の収縮感が断然に強かった。逆手で行うと上腕二頭筋の関与が強まると言われるが、このシーンでは腰を突き出して胸をバーにつけるように動作を行っているため広背筋をワークアウトでしていることには変わりがない。つまり、突如現れたB・アフレックの腹直筋に俺がオスとして圧倒されたことは、順手を逆手にすることによって意図的に計算されていたということになる。

その後に何度も見たが、まさに教科書通りのチンニングだった。一気に引き上げ、じわじわ降ろすことで、筋繊維に相互に摩擦を起こさせている。男の筋破壊、もっと言えば自己を破壊して新しくなろうとする様が描かれている。

日常で、尊厳を喪う機会だけが増えていき、尊厳を回復するチャンスは二度と現れないように感じてしまう時がある。そんなとき俺はダグを微かに、いや強烈に意識して天井を睨みつけながら「リバースチンニング」をする。生まれ育ったところから訣別するために、必死に覚悟を塗り重ねていたダグの心情を想像しながら限界まで自分を引き上げる。

男の尊厳を取り戻すためのワークアウトメニューを載せておく。いずれも限界レップで設定してある。出来なくなってもすぐに諦めないことだ。男のワークアウトにはそいつの生き様が滲み出る。自分には、自分に対してだけは、決して嘘を付かないことだ。俺にそのことを約束してくれ。

<男の尊厳を取り戻すためのチンニングのワークアウト>

①ワイドグリップチンニング(順手)…限界レップ

②クローズドグリップチンニング(順手)…限界レップ

③ワイドグリップチンニング(逆手)…限界レップ

④①〜③のいずれかでジャンプして引き上げた状態から降ろすネガティブ動作…10回

P.S.インターバルは1分以内だ。

 

 

【男たちのコラム】ジョニーは逝ってしまった

休暇で日本に帰って来たとき、ジョニーが「ハプニングバーに行かないか?」と誘って来た。もちろんフランスにはそんなバーはなかった。部隊の奴らにいい土産話が出来ると思い、俺は奴について行った。雑居ビルに2階にあるその店には看板はなく、ノックをすると重厚な鍵が外される音がして、出て来た店主が言った。「入場料は1万円です。一つだけ条件があります。もしも女性がプレイを求めてきた場合は絶対に断らないで下さい。」と。俺は面白いと思い、ジョニーとともに店に入った。店内は意外にも普通のバーだった。20代後半から30代を中心に、男女が入り混じってただ酒を飲んでいた。カウンターに座り、ビールを注文して乾杯をしようとしていた時、「ねぇ、プレイしない?」と言う声が聞こえた。妙に嗄れた声だった。後ろを向くと懸命に若作りをした50代後半の白地にピンクのロゴが入ったミジェーンを着た女が立っていた。店主を見ると先ほどの柔和な表情とは違った面持ちでグラスを拭いている。正直言って、俺は蒼ざめた。だが、その女は俺ではなく、横に座るジョニーを見ていた。ジョニーはその女にエスコートされ、店の端に用意されたマジックミラー越しの空間に連れて行かれた。瞬く間に服を脱がされたジョニーの斜腹筋は見事に蠕動し、奴の誠実さを奏でている。気付くとさっきまでただ酒を飲んでいた者達が俺の後ろに立っていた。ジョニーは3秒後にダイビングボディプレスを仕掛けられるプロレスラーのように仰向きにされ、虚空を見上げた。鹿のように無表情な顔とは裏腹に、ジョニーのコックは天井に向けそそり立って行った。女はそのコックに自らのクイムを練り込ませ、まるで妖怪のような小気味いいリズムのグラインドを始める。暫くして、ジョニーは不意にレバーを打たれたボクサーさながらの呻きを挙げ、逝った。女はジョニーのコックを口で綺麗にすると、「よかったわ。」と言って、タイムスリッパーのように静かに暗闇に消えて行った。暗闇に消える瞬間の女は少しだけ若返ったように見えた。賞賛を惜しまない観客の前でジョニーは俺にこう言った。「1ラウンド持たなかったよ。」と。俺たちがまだ20代だった時の話だ。

最近ふと人伝に、ジョニーが死んだと聞いた。ケンカの仲裁に入って刺されたそうだ。ジョニーは本当に逝ってしまったのだろうか?ひとつだけ確実に言えることは、あの時、奴は本当に勃っていたということだ。俺が男と聞いて思い出すのは、ジョニーのあのときの姿だ。翻っていえば、男の価値はそこにしかないのかもしれない。俺はもう二度とジョニーに会うことはない。

謹賀新年〜レンジャー離婚チームが滝行を敢行しました。

大晦日に限りなく近い年の暮れに、レンジャー離婚チームは神奈川県南足柄某所にある「夕日の滝」にて滝行を行いました。滝行は山を神と奉る修験道の伝統を受け継ぐ、古来からある修行法です。幸い天気には恵まれたものの、その寒さは想像を絶するもので、単なる手をあわせるだけのパワースポットでないことは滝に入るまでは分かりませんが、入った瞬間にその全てを知らされることとなります。とにかく寒い上に、滝の圧力で息が出来ず、大声を出してやっと呼吸が出来るという状態が90秒間続きます。あまりの過酷さに言葉を喪ったレンジャー離婚チームですが、小屋に帰るとさっきまでどこにあるかわからなかった太陽がすぐそばにあるような不思議な感覚が彼らを包みました。滝行自体は無であり、太陽の光にこそ意味があると和尚さんが語ってくれたことがとても印象的でした。

滝行の後は箱根の温泉旅館でもうひと修行。ジャンケンで負けた人は腕立て伏せを10回するという「腕立てジャンケン」により、更なる新年への想いに追い打ちを掛けました。これは膝や頭を付けても上がらなくなるまで続くもので、最後の一人になるまで終わることがない「死」を連想させるようなプッシュアップタイムが繰り広げられることとなりました。一年の終わりを否応なく自分自身と向き合うことにより、エキサイティングに締めくくることができたと思います。

今年も宜しくお願い致します。依頼者の次なる幸福に向け、チーム一丸となって邁進する所存でございます。

【男の離婚相談】妻がアダルトビデオに出演していました。もう、消えたい…です。

今年の忘年会のことです。2次会でたまたま入った店がハイボールに角の継ぎ足しをしてくれる店で、みんな10時を廻っていない段階でベロンベロンになってしまいました。気付くと目の前で普段あまり仕事をしない後輩が入社したばかりの女子社員にセクハラまがいのことをし始めていました。酒に酔って指導するのはよくないとは思いつつも、主任という立場で軽く注意したところその後輩からまさかの逆切れが。後輩は私に「今日はBRKすなわち無礼講のはずじゃなかったんすか?」と言って来たのです。私は大学時代に体育会空手部の副主将を務めており、こう言った上下関係が分からない奴が許せません。暴力こそは振るわなかったものの正座をさせ3分だけと決めて説教を始めました。そして3分経ったため解放してやろうと「分かったな。」と窘めると、「主任、ひと言だけいいっすか?」とその後輩が言ったんです。途端に今まで隅の方で静かに飲んでいた質感が佐藤浩市似の課長が「それはやめろ!」と怒鳴りました。いいから言ってみろというしかない状況で私は後輩から衝撃の一言を聞いたんです。それは「主任の奥さんって、AV出てましたよね?」というものでした。永遠とも思える静寂の中で課長が後輩を殴り付ける音と「ここは俺が持つから早く帰れと!」いう課長の声だけが聞こえました。即座にネットで調べようとアイフォンを取り出そうとした私の肩を課長が掴んで「それは絶対にやらないって、今ここで俺に約束してくれ。頼む。」と言いました。私は課長の佐藤浩市が映画終盤で見せる涙を堪えながらの上目遣いさながらの迫真に迫る表情を見て全てを悟りました。結婚式にも出席してくれた課長が少しだけ教えてくれたことによれば、妻は素人妻の面接モノに出演し、おそらくそれ以外の出演はなく、課長も一度だけお世話になったことがあるとのことでした。ここ3日は実家にいます。母は「何かあったのかい?」と言って来ます。その何かを察した妻が頻繁に生まれたばかりの娘の写真をラインして来ますが、正直「もう消えたい」です。私はどうしたらいいのでしょうか?

相談者:28歳・大手広告代理店勤務
家族:妻26歳(専業主婦)・長女3ヶ月


ここでオレは古いようだが、プライドという言葉を出してみたい。おそらくプライドが問われている。飢餓は過去に葬り去られ、戦火はまだ遠く、冒険の機会が失われ続けていく時、プライドは自然消滅へ向かおうとする。プライドにしても幻想であることには変わりがない。例えば、制服を着ているが本当に現役だか分からない女子高生と3万円ほど出してその辺の喫茶店でお話をするだけの悲しいオジさんは、決してカスのようなロマンを求めているわけではなく、下水のあぶくのように危うくなってしまったプライドをなんとか繋ぎとめようとしている。プライドを得る場所が減っていき、失う場所だけが増えていく。だが、プライドだけが物語を作る。絶望した時に消え去りたいという誘惑から救ってくれるのは、母親でも友人でもなく、ましてや抗精神薬でもない。プライドである。プライドを保とうとした自分の思い出だけが、頼りになる。


まず、奥様のAV出演が「不貞行為」に該当するかどうかですが、「不貞行為」とはすなわち配偶者以外の異性と性交することを言うため、奥様が出演したAVで本番行為をしたかどうかが問題となって来ます。しかし、売春防止法は本番行為を禁止しており、類に漏れずAVでも本番行為はしてはならないことになっています。そのため、AV製作者は映像にモザイクを掛け、本番行為をしていないという建前を守っているのです。仮に奥様が出演したAVで本番行為をしていれば、かかる行為が「不貞行為」に該当するのみならず、法を破ってAVに出演させた訳ですから制作会社に不法行為に基づく慰謝料請求することができます。他方で、本番行為をしていなかった場合は「不貞行為」には該当しないものの生活費に困窮していた等の特段の事情のない限り、いわゆる5号事由として「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認定されるでしょう。また、無理矢理AVに出演させられた等の事情があれば、本番行為があった場合と同じく制作会社に不法行為に基づく慰謝料請求をすることができます。なお、奥様が本番行為をしていた場合でも奥様が売春防止法で処罰されることはありません。売春防止法は、売春をした者を守ることを立法趣旨としています。処罰される可能性があるのは、法を犯した制作会社であり、奥様ではないのでその点はご安心下さい。

超党派議員立法による「親子断絶防止法案」

ひとつの恐怖の時代を生きたフランスの哲学者の回想によれば、人間みなが遅すぎる救助を待ち焦がれている恐怖の時代には、誰かひとりの遥かな救いを求めて叫び声をあげる時、それを聞く者は皆その叫び声が自分自身の声でなかったかと、わが耳を疑うのだそうです。

家裁という戦場で何度わが耳を疑ったかわかりません。しかし、その遅すぎる救助がとうとう訪れようとしています。「子供は母親の物」だという宿痾を持った調停員が纏めて博物館行きになる時代がやって来ようとしています。

法案提出の背景には、面会交流の重要性に対する認識が、年々広がって来ていることがあります。具体的には、父母双方から愛着を得られることこそ、こどもの心理に安定感を与えて、愛情豊かなこども、そして大人に育つという考え方が欧米ではなくここ日本で日増しに定着して来ていることが挙げられます。この法案はいわゆる理念法で強制力というものはありませんが、社会の共通認識である法として明文化されるという意味でとてつもない意義をもつものです。

ところで、皆さんはこの世の中がよくなっていると思いますか?親子を平然と断絶する現状の家庭裁判所のやり方が、精神的児童虐待の幇助だったと振り返るときがきっと到来すると思います。その時「あぁ世の中はよくなったんだ。」と呟くとともに、誰かの叫び声が自分自身の声ではなかったかと耳を疑う事も無くなるのではないかと考えています。

【男の離婚相談】自分の部下が妻を誘惑して来るんです。どうしたらいいですか?

会社の後輩と妻の関係のことで悩んでいます。後輩は昨年入社し、同じ部署に配属されました。所属の部署は営業です。主任の自分が直属の上司として、営業のイロハを教え込みました。アポの取り方はもちろん、スーツの仕立てから靴の磨き方まで自分が教え込みました。今あいつが履いている靴は殆ど自分と選びに行った時に買ったものです。最初の靴を買いに行ったときのことですが、あいつ、待ち合わせ場所にナイキのスニーカーで来やがったんです。ちょっと靴を脱いで見せてみろと言って自分はそのナイキをゴミ箱に放り込んでやりました。「ある一定の年齢になったらナイキのスニーカーなんて履くな。」って叱ったら、涙目で「はい!」って裸足で直立不動になってました。その姿が今でも目に浮かびます。それなのに、あいつと来たら自分の嫁を確実に誘惑しているんです。月末には必ずと言っていいほど妻の手料理を食べに来て、妻に色目を使います。自分はその間に何かするんじゃないかと手洗いにも立てず、ただただ胸が張り裂けそうな気持ちでいます。自分はどうしたらいいんでしょうか?

相談者:営業職(29歳)

妻:主婦(30歳)


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男の欲望、願望、そこには物語があり、この物語は言うまでもなく幻想である。ここでいう幻想とは何か?それは単なる生物学的な本能に形を与えるものだ。ただ、その幻想は恐ろしくパターン化されており、上司の妻を犯すなんて幻想はおよそ古代からあったと言っても過言ではない(いや、それは言い過ぎかも知れない)。牛やヤギもやっている単なる性交に幻想を感じたがるのは決まって男の方だ。男は様々な幻想を食べながら生きている。美味しい幻想があれば元気になるし、それが不味ければゲンナリする。単純だ。出来れば元気でいたいと思うのはみんなそうだけど、その幻想ですら見ることが許されない時がもしかしてやって来るかも知れない。その瞬間、男は本当にダメになり、人類は終末を迎える…ハズだと思います。


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相談者の推測が正しければ、相談者は部下に民法上の損害賠償請求権を有していますから、それを根拠に警告文等で通告することが出来ます。ここからは法的な話にはならないと思いますが、相談者はその部下に恋愛感情を抱いているのではないでしょうか?その恋愛感情が転移して、自分の妻を誘惑しているのではないかという疑惑が生まれているように感じます。このような感情の転移は人間関係ではよくある話ですが、不思議と自分では気付かないものです。とはいえ友人や家族に相談出来ないのはご自分が一番分かっているのです。一人で悩まず、守秘義務のある専門家にご相談することをお勧め致します。