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【男たちのコラム】一度だけの暴力

2_1一度だけ女に暴力を振るったことがある。中学生の頃だ。同じクラスに凛子という女がいた。オレはその女とトコトン反りが合わなかった。凛子はヤンキーではなかったが、気が強く、滅法口が立った。オレの言うこと為すことを全否定して来る天敵のような存在だったんだ。ある日の朝、凛子が父親の仕事の関係で転校すると担任が告げた。清々したという気持ちがある反面、同時に説明し難い物悲しさも感じていた。そんな複雑な気持ちで午前中の授業を受けていると、右斜めの凛子の椅子からポタポタ水滴が垂れているのが見えた。奴の顔を見るといつもの名前通りの凜とした表情は消え失せている。辺りを見渡すと誰も気付いている者はいないようだった。みんな気怠そうにちょうど1分前のオレと同じように欠伸を噛み殺している。オレは机を蹴飛ばし、勢いよく教室の後ろにある赤い防災バケツを取りに行った。そして、「餞別だ。くれてやる。」と叫びながらそいつを凛子の頭に勢いよく被せた。何も知らないクラスの女どもの断末魔が挙がった。その後、竹刀を持ってやって来た体育教師にこっぴどくシメられたのは言うまでもない。「なんであんなことしたんだ?女に暴力を振るうなんて男として最低なことだぞ。」って、柔道の稽古にかこつけて散々ぱらラッパを吹かされた。ラッパを吹かされるってのは、抑え込まれて呼吸ができない時に口を塞がれると下手くそなラッパみたいな音が聴こえる。そいつをラッパを吹くって言うんだが、オレはラッパを吹かされている間にも「くれてやったんだ!あの生意気な女に餞別をくれてやったんだよ!」って叫び続けて、いつの間にか気を失っていた。

それから7年くらい経った夏の終わりの昼下がり、オレは駅前の本屋にいた。肩を叩かれて後ろを振り返ると凛子だった。見違えるような美しい女になっていた。オレ達は昼からやっている酒場でビールを飲み、カラオケに行って一曲ずつ歌った。凛子は確か小林幸子の「おもいで酒」、オレはエルトンジョンの「グッバイ・イエロー・ブリックロード」を歌った。そして何も言わずに一度だけキスをした。凛子とはそれっきりだ。

お前ら勘違いするなよ。オレは決してたまには暴力もいいもんだということを言いたい訳じゃない。じゃあ一体何が言いたいかだって?そんなこと訊くんじゃねぇ。それがダメだって言うんだ。いちいち理由を聞き出すのは女の専売特許にしとこうじゃないか。そろそろ酒を飲む時間だ。また手紙をくれよ。